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カワサキの単車雑談


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オートバイの魅力ってなんだろう。

Ride image

 最近、普通の雑誌や深夜の音楽を流すFMの中でよくオートバイの話が出てくる。
内容は決まってこんな感じだ。

「オートバイの魅力って一言で言えば、風を感じられるし、その加速感。これはどの車にもあてはまらない体感だ。でもそんなに速度は出していないし、出さなくてもそれなりに加速感は味わえる。車重が軽いというか、アクセルと速度が、ちゃんとついてくる。確かに身体をむき出しにしている分、危険だし、車と違って雨にも濡れる。暑ければ暑いし、寒ければ寒い。でも、その一見不便そうなところがまたオートバイの魅力だ。」

 あなたが30代を過ぎてからオートバイの魅力の虜になったならばなおさらだ。会社帰りに、どこかのウェイティングバーの片隅で1時間は隣の女性相手に話が出来る。
 でも、実際乗っている身としては、ふと「なぜ乗るのだろう。」と思うことがある。例えば、オートバイが好きなのに、日曜の休日しか乗らない。好きならば毎日でも乗れるのに。決まって答えはこうだ。
「車の方が便利だから。」

ZR
 こんな話がある。人間は進化して2本足で歩くようになった。しかし、現代の人間は退化している。4本足の「車」に乗っているからだ。
 人間は生まれてまもなく赤ちゃんとなって、誰でもハイハイ(つまり4輪)で歩く。しばらくすると、3輪歩行車に乗れるようになって、3輪車にも乗るようになる。そして2本足(2輪)で歩くようになると、自転車、二輪車などの2輪の乗るのが正しい進化。そして、そのまま大人になって‥怠惰の進化の証、楽するために4輪、つまり自動車に乗る。つまりオートバイに乗ることは、人間にとって正しい当然の進化の証だと(笑)。

 昔の人間は馬に乗って荒野を駆け抜けた。素晴らしい運動神経というか、人間本来の野生本能というか、五感が鋭いからこそ、馬を操れる。オートバイもそうだ。普段の生活ではもはや使わくなった五感をフルに使わないとダメだ。しかも、第六感もないと。
 例えばカーブを曲がれず、例えば急に飛び出てきた車を避けきれず転倒する。加速すると同時に身体が後ろに持って行かれる。しかし、乗り慣れてくればそんなことは百も承知。そんなぶざまなライダーは見たことがない。リアタイヤが滑った。ヤワに乗っていればそのままバランスを崩し、振り落とされ転倒。しかし、多少の滑りくらいならば、腰のバランスでなんとか押さえられる。ライディングポジションが正しければ、ほんの数センチ滑っただけで、グリップを取り戻す。オートバイを操る全ての動作が、人間を鍛える。

 つまり、オートバイに乗るということは自分の持っている野生本能をフルに使って操るところに本当の魅力のあるのかもしれない。
この便利な世の中。人間はあえて不便さを楽しむためにアウトドアに挑む(笑)。同じようにオートバイもあえて車にはない不便なところが魅力なのかも知れない。ハッキリ言って、普段の生活ではすっかり使わなくなった五感を、オートバイに乗るという時にはフルに使う。使わないと、コケるし、自分の命も危ない。オートバイに乗るということは、緊張感あふれることなのだ。

 それと同時に、やっぱり「ツーリング」だろうか。この一見単純な旅が、ものすごく魅力的だ。例えば、オートバイで知らない土地に行くと、決まって近くの人が声をかける。

「あんたどこから来たの。」

車では考えられない話だ。知らない人に声をかけられるということが、オートバイの旅では、よくある普通の出来事なのである。その一言から、知らない土地への親近感を覚え、旅の小さな思い出となる。これがオートバイならではの魅力だ。

 最初に話した、「風を感じて」とかも別に嘘ではないが、魅力をいざ語ろうとしても思いつかないものだ。別にそれが「何」なのかわかるために乗るわけでもなく、理屈をならべても何にもならない。オートバイは単純に楽しい。

それがカワサキだったらなおさら‥。



オートバイに乗って旅に出よう。

 オートバイの旅は雑誌で見るほど快適なものではない。
自分の今までの経験上、天気がツーリングの最初から最後まで良かったという時は数えるくらいしかない。大体が、朝出発時は曇りで、その後、目的地に近づくにすれ天気が良くなる。また、天気が良かったのだが途中から雨が降ってきて、びしょ濡れのまま走ったとか。

ZR
 実際天気が良くても、夏になればその気温の高さと、自分の股の下にあるバイクのエンジンの振動と熱気がすごい。当たり前だが、エンジンは熱い。素手で触るとやけどをする。(グローブをしているからこそ、信号待ちでシリンダーのフィンをなでられる。)長距離を走っていると、カワサキは特にクラッチは入りづらくなる。なによりもクラッチを握る左手も握力が無くなってくる。転けることを考えて結構、長袖で乗っているから止まると暑い。ヘルメットだって汗でむさ苦しい。さっそうと長い髪を振り乱して‥なんて、小説にでてくる女性ライダーは‥いない。変な癖が髪の毛についてしまってはずかしい。車と違って、缶コーヒ片手に運転もできない。荷物だってそんなには積めない。

これが、オートバイだ。そしてツーリングだ。
綺麗ごと並べても、結局車の旅には快適さではかなわない。でもなぜかまた旅に出る‥。

 当たり前だが、オートバイは身体が外にある。自然の中なのだ。ヘルメットはつけてはいるが、顔は一応外にある。車で走っても気が付かないことが、オートバイではよく気が付くことがある。例えば、その土地の臭い。雨が降れば、近くの山の草木の香りが雨の臭いと共に入ってくる。港町を走れば、海の香り。潮風。アスファルト路面の感触、音。そして、自然豊かな地域を走れば美味しい空気の味がする。遠くの鳥や虫の声、その町並みの活気づく音。波音。さまざまな地域の印象を、オートバイで旅をすると身体全体で感じる。これが何とも言えない良さなのだろうか。

 また、見慣れた街でさえ、オートバイに乗って走ると違った印象受ける。しかも、車体が車に比べて小柄なわけだから、普段通らない小さな道もつい通ってしまう。新しい発見がある。だから、オートバイに乗るということは非常に刺激的だ。
 近くだろうが、遠くだろうが、たまには自分の住んでいる街からオートバイで飛び出そう。
きっと新しい発見があるに違いない。

(1999/07/14)

その3

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